わたし達の食生活に
無くてはならない「歯」
無くなってしまってはじめてわかる
その「歯」の価値
大切 な「歯」をはじめ
「お口の中」について、
意外と知らなかった事を
楽しくお伝えできればと思います
「あーお腹減ったな~」と時計を見るとお昼の12時。
腹時計と言ったりもしますが、人によっては結構正確!これはなぜ?
医学的には体内時計といいますが、何とほんとうに時計遺伝子があることが1990年代に発見。
でも、夜ふかししたり、昼前まで寝ていたりといった生活の不規則さで、この体内時計は壊れた時計みたいにどんどん狂っちゃいます。体内時計は毎日決まった時間に起きて朝日を浴び、その光が目に入って脳が活性化するということで体調が整っていきます。

体調を一定に保つ働きを「自律神経」と言いますが、自律神経に狂いが出ると、「さあこれから仕事!」 という時に頑張る気持ちが出なかったり、寝なくちゃいけないときに全然眠れないなどといったことが起こったりします。
これは、活動時間帯と休息(睡眠)時間帯のスイッチ切り替えがうまくできないことによるものです。
脳内で「オレキシン」という物質がたくさん作られている時は、仕事や勉強がはかどる、いわば脳が 活発に働くモード、オレキシンがあまり出なくなってくると、眠気が出てきて眠りにつくというしくみですが、寝る前に激しい音楽を聴く、刺激性のある動画や映画を見る、ゲーム端末で アクション系ゲームを楽しむなど、ぼちぼち脳が休みを取りたい時間帯に、刺激をどんどん与えてオレキシンが作り出されるとスイッチがうまく切り替えられず、目が冴えて眠れないといったことがおきます。 特に生活が不規則だとそのような傾向が多くなっちゃいます。
きちっと朝に起きる、朝ごはんをちゃんと食べる(朝ごはんは脳細胞の栄養で、体も活性化)、 一生懸命仕事をする、勉強をする、お腹が減る、ご飯が美味しい!といったサイクルがうまく起こり、夜はぐっすり寝られるということにつながります。
「規則正しい生活」はやる気、睡眠、食欲、排便、ありとあらゆることに影響しますので非常に大切なことなんです。もちろん寝る前(眠たくなる前)の歯磨き。朝にちゃんと起きて歯磨き時間の確保は歯にとっても大事だよ。

小顔メイク

最近、小顔にあこがれる女性が多くなり、雑誌やネットでも小顔メイクの特集を掲載したり、いろいろな方法で小顔に見せるための工夫をしたりする記事が若い女性の間で大きな関心となっています。
また、小顔化したいために美容医療を利用される方も
増えているようです。
若い女性はさておいて、小顔に見えにくくなる
原因のひとつである「たるみ」は、悲しいことに年を
重ねるにしたがって増えやすくなってきます。

顔にはたくさんの筋肉があり、喜怒哀楽を示す表情を
作るために働く筋肉や、食べることに使われる
筋肉などがあります。 これらの筋肉はマッサージや
フェイシャルエクササイズなどにより、
動きやすくしたり鍛えることによって
たるみを目立たなくすることができます。

食べる時に使う筋肉を咀嚼筋と呼びますが、それ以外に舌筋とよばれる顎の下の筋肉や表情筋など多くの筋肉も複雑に働くことがわかってきています。
ガムメーカーが中心となって2か月間ガムを毎日続けて噛むと、顔の形(フェイスライン)への影響や、それ以外の体の各部分に影響がどれくらい出るかという実験を行いました。
小顔のバロメーターとなるフェイスライン角度に加えて、顎のまわりの皮膚の弾力性、体重・BMI・体脂肪の測定をしたのです。その結果、実験中2か月間ガムを噛んでいたグループは顎が見た目でわかるくらいほっそりし、皮膚の弾力性も増加、自分自身で肌状態が良くなったと感じている人が多いという実験結果が出ました。またそれだけではなくガムを噛んだ人たちは食後4時間にわたりカロリー消費が向上した結果が出ました。
これは噛む回数が増えることによって脳だけではなく全身への血流も増えたことによるものと考えられます。噛むということが小顔化だけではなく全身に影響を及ぼしていることが明らかになったと言える実験結果となりました。
噛むことがどれだけ全身に影響を与えているかを考えさせられます。
市販されている普通のガムは、毎日噛むと「う歯(むし歯)」が激増する原因になりますので注意する必要がありますが、「顎の筋肉を鍛える」ことを目的に開発されたガムは硬めで子供たちへの歯並びを良くする効果も期待されて、ぜひすべての人に利用してもらいたいと思います。

マスクと口臭

コロナ禍が過ぎつつある中、日常化した「マスク生活」も着用率が少し下がってきていますが、マスクをつけていることで、「自分の口臭をすごく感じるようになった」「口が臭いことに気付いてショックだった」など口臭を強く自覚するようになった人や、「マスクをするようになって、口臭が強くなったかも…」 と思われる人もいるかと思います。

そもそも、口臭の正体は硫化性ガス(硫化水素やメチルメル カプタンなど)です。
歯周病が進んだ人に口臭があるとよく言われるのは、歯周病菌がにおいの原因を多く作り出すためです。
『舌苔(ぜったい)』と呼ばれる舌の上の汚れも、 大きな原因といわれます。
舌苔は、口の中の古くなった粘膜や食べ物のカスなどの 汚れに、細菌が集まって腐敗したものです。 舌苔中の細菌が多いほど、悪臭の程度も強くなります。
また、食べたものによる臭いや内臓の病気でも口臭が出ることがあります。健康な人でも内臓から出るガスは多くありますが、口臭の原因となるほどの強さではありません。

マスクをしていると、自分の口臭を比較的感じやすいのは、
吐いた息がマスクの中にとどまり、臭いを自覚しやすいからです。
また、会話をすることによってマスクの内側に唾液が付くことや、
口呼吸をすることも多くなるため口の中が乾き、
細菌が増えやすい環境になります。
できるだけ鼻で呼吸するように心がければ、ある程度
口臭を防ぎやすいです。

歯肉炎や舌苔はセルフケアである程度予防できますが、
お口の中が重度の歯周病にかかっていたりや
大きなむし歯があると、強い口臭の原因になりますので
早めの歯科医院への受診をお薦めします。
口臭はもちろん、口の中の健康を維持するために、
歯科の定期検診はとても重要です。

ぜひ習慣化してください。

歯周病って怖すぎる!

歯周病は歯がぐらぐらするだけではないんです。
歯周病の原因はご存じのように「歯垢」と呼ばれるネバネバした細菌のかたまり。歯垢の中には「酸素が嫌いな嫌気性菌と呼ばれる細菌」が多くいて、この細菌と免疫を担当する防御システムの戦いが歯周病のはじまりなのです。赤く腫れたり出血したりする症状が出ます。
防ぎきれなくなると、歯垢の中の細菌は歯周ポケットの中に潜り込み、 どんどんその毒素で歯のまわりの組織を壊していきます。
こうなってしまうと悪循環。何も対策しないとどんどん歯周病が進んでぐらぐらして食べることが苦痛になってきます。

多くの歯が中等度の歯周病にかかってしまうという状態は、もし歯周ポケットの炎症を起こしている部分を身体のどこか一か所に集めるしたら、何と手の平くらいの面積になるとのことです。手や足にそんな大きなジュクジュクした潰瘍ができたら、驚いて病院に駆け込みますよね。
実はそれ位の炎症が口の中でずっと続いているということなのです。
炎症によって出てくる毒素は歯肉の血管から全身に入り、いろいろな病気をおこしたり悪化させる原因となります。血糖値を下げるインスリンの働きを弱くして糖尿病をひきおこしたり、血管を細くしたり、詰まらせて心筋梗塞や脳梗塞をおこしたりすることもあります。
また、歯周病菌は高齢者の死因トップ10に入る誤嚥性肺炎の原因です。
近年では認知症にも関係していることがわかったり、中等度以上の歯周病を持った妊婦さんは早産・低体重児出産のリスクが健康な人と比較すると何と7倍だそうです。この数字はタバコやアルコールの影響よりも大きいんです。

現在ではメタボリックシンドロームや老化を進める
原因のひとつであるという研究論文も出てきています。
何本かの歯がぐらぐらする…という症状が出ていたら、
中等度以上の歯周病である可能性はかなり高いので、
歯科受診されて歯のメインテナンスをしないと、
全身の健康や寿命を左右することになるかもしれません。

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